J.フロントプライムスペースと心斎橋PARCOがつないだアップサイクルの循環
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J.フロントプライムスペースが大阪芸術大学・大阪工業大学と取り組む、産学連携アップサイクル・プロジェクト「端材に命を吹き込む」。
建築・内装・家具などの製造現場で生まれる端材や不用材を、学生たちの自由な発想によってアート作品やインテリアプロダクトへと再生する取り組みです。
2025年度作品は、心斎橋PARCOにて、一般のお客様に向けた作品展示を実施しました。同時期に開催されていたサステナビリティ企画「TIME」と連動し、端材の再生を通して、循環する社会や未来の暮らし方を考える機会を提示しました。
産学連携アップサイクル・プロジェクト
「端材に命を吹き込む」



今回の企画はJFRグループの内装・施設運営事業会社であるJ.フロントプライムスペースと、心斎橋PARCOが連携することで実現しました。
J.フロントプライムスペースは、商業施設・ホテル・オフィスなど多様な空間づくりを手がける中で、家具工場や協力会社から排出される端材の有効活用に向き合ってきました。一方、パルコは、都市の中でカルチャーや新しい価値観を発信する場として、多くのお客様と社会をつなぐ接点を持っています。
「つくる現場」から生まれた素材が、学生の創造力を経て作品となり、心斎橋PARCOという開かれた商業空間で社会へ発信され、JFRグループ内の事業特性を活かしながら、サステナビリティと文化発信が結びついた取り組みについて紹介します。
心斎橋PARCO「TIME」との連動——サステナビリティを来場者体験
本展示は、心斎橋PARCOで同時期に開催されていたサステナビリティ企画「TIME」と連動して実施されました。
「TIME」は、循環や持続可能性をテーマに、多様な視点から未来の価値観を問いかける企画です。その中で「端材に命を吹き込む」は、端材という具体的な素材を起点に、廃棄から再生へと至るプロセスを可視化する展示として位置づけられています。
大学内や社内での展示とは異なり、心斎橋PARCOは日常的に多くの来場者が行き交う商業空間です。学生作品は、評価されるためだけの対象ではなく、買い物や食事、旅の途中で偶然出会う体験として、多くのお客様の目に触れることになりました。
実際の会場では、来場者が足を止めて作品に見入る様子や、作品をきっかけに会話を交わす場面も見られました。サステナビリティというテーマを、難しい言葉だけでなく、素材や造形、体験を通して伝えられたことは、今回の展示の大きな成果です。



ものを永く使い続けることで刻まれていく物語や、その過程で生まれる経年変化がもたらす美しさにフォーカスした「TIME」のコンセプトを、本展示を通じて提案することができたと感じています。
開業5周年を迎えリニューアルが進行する心斎橋PARCOにオープンした「TOM WOOD」の展覧会を同フロアで開催していたことや、隣接する大丸心斎橋から回遊されるお客様も多く、地元の学生からツーリストまで、世代や国籍を問わず幅広い方々にご来場いただいたことが印象的でした。
「TIME」と連動したことで、ものと長く向き合う価値や、その背景にあるストーリーへ目を向けるきっかけとなっていれば嬉しいです。

実際に心斎橋PARCOという場所で展示されている所を見て、制作した作品がより魅力的に見える空間をつくっていただけたことが、とても嬉しかったです。多くの一般の方に作品を見ていただける、とても貴重な経験になりました。
展示構成・什器に込めた考え方
今回の展示では、作品そのものの魅力を引き出すだけでなく、「端材を活かす」というプロジェクトの思想が空間全体から伝わることを大切にしました。
会場は作品の見やすさと空間としての統一感を両立させるため、シンプルな木材と布を使って構成しています。特別な素材や複雑な造作に頼るのではなく、どこにでもある木材と布をシンプルに組み合わせることで、作品を引き立てながら端材やアップサイクルというテーマが自然に伝わる空間を目指しました。
学生作品は、使われている素材もサイズもさまざまで、一つひとつに異なる個性があります。そのため会場内を、ウェルカムゾーン、メインゾーン、作品ゾーン、照明作品ゾーンと緩やかに分け、来場者が自然に回遊できる構成としています。会場を歩く中で、次々と異なる素材や作品に出会えるように配置し、まるで端材の森を散策しているような感覚で展示を楽しんでもらえる空間を目指しました。
作品を鑑賞するだけでなく、素材が新たな価値へと生まれ変わっていく過程も感じてもらえればと考えています。




企画に携わる中で、私自身もあらためて“つくること”と“壊すこと”について考える機会となりました。私は日頃、ディスプレイや空間演出の仕事に携わっていますが、空間をつくっては撤去するという、いわゆるビルド・アンド・スクラップを避けられない側面があります。そのことに対して、これまでもどこかにもやもやとした思いを抱えていました。
今回の企画では、普段は見過ごされがちな端材にあえて焦点を当てることで、自分自身もその課題と向き合うことができました。空間演出は、何かを目立たせたり、強く印象づけたりすることを求められる仕事です。一方で今回は、作品や什器、素材が無理なく空間になじみ、そこに来場者も自然に溶け込んでいくような展示をつくることができました。
見る側と見せる側、作品と空間がひとつながりになるような場をつくれたことは、私にとっても新しい空間づくりのモデルケースになったと感じています。
端材提供から生まれた価値
本プロジェクトで用いられた素材は、木材、布、金属、タイル・レンガ、建築織物、石材、自動車部品、印刷関連の端材など多岐にわたります。
使い道が限られていた素材が、学生たちの手によって新たな意味を持つ作品へと再構築されました。
素材の不揃いさや制約は、制作における難しさである一方、学生にとっては新しい発想を生み出す起点にもなります。完成した作品からは、素材に向き合い、価値を読み替えようとする学生たちの姿勢が感じられました。




端材を提供してもらって、その素材を目の前にして考え始め、何かしらの作品に仕上げる。このサイクルは〝ものづくり〟にとってとても貴重な体験です。以前よりサスティナブルとかアップサイクルデザインとかということが注目されていますが、目前の材料を寄せ集めて新たなものをつくり出す〝ブリコラージュ〟という考え方にも通じて、本来の使い方と違う創造性豊かに新たなものをつくり出せる機会を毎年提供していただいています。
通常の授業で行うデザインと共に材料を選択するのというのではなく、全く違うものづくりの思考プロセスを学生達は学ぶことが出来ています。卒業後においても素材を大切に扱い、その素材の多様な使い方や可能性を考えることに繋がってほしいと期待してします。

今回の産学連携アップサイクルプロジェクトの面白さは、アイデアから素材を検討する普段のデザインプロセスとは違い、目の前にある不揃いで制約の多い廃材からアイデアを検討するアプローチの違いにあります。素材と徹底的に向き合うなかで、学生たちはその個性を深く読み解き、欠点さえも価値へと反転させる柔軟な思考力を養うことができ、学生たちにとって実り多い教育の機会となりました。
トレンドやカルチャーの発信地である心斎橋PARCOという開かれた商業空間で、一般の多様なお客様に作品を評価していただけたことは、学内の演習だけでは決して得られない実践的で意義深い経験であり、自分たちのアウトプットが社会に届き、未来の循環に直接関与しているというクリエイティブの可能性を、肌で実感できる素晴らしいプロジェクトでした。
今後に向けて
「端材に命を吹き込む」は、単なる作品制作や展示にとどまらず、企業、大学、グループ企業、協力企業がそれぞれの資源・強みを持ち寄り、社会に向けて新たな価値を提示する取り組みです。
役目を終えたと思われていた素材に、もう一度目を向けること。素材の声を聞き、創造力によって新たな意味を与えること。その積み重ねは、これからのものづくりや暮らし方を考えるうえで、大切なヒントになるはずです。
J.フロントプライムスペースは、今後も産学連携やグループ内連携を通じて、サステナブルな社会の実現に向けた取り組みを継続していきます。